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【2026年最新】就業規則の提出義務と「10人」の正しい数え方

就業規則・書類の保存

社長さん、こんにちは。社労士みなみです。

今回は、働く上で欠かせない労働法の知識や手続きについて、労使双方にとって公平・中立な立場からわかりやすく解説しています。

本日のテーマは、「就業規則の作成・提出義務」についてです。

会社の規模が大きくなると、「そろそろ就業規則を作って提出しなければ」という時期がやってきます。しかし、「10人という人数の数え方」や「提出の範囲」などについて、意外と間違いやすい注意点が多く存在します。
今回は、2026年の最新情報も交えながら、就業規則の作成・提出に関する正しいルールと留意点について解説していきます。

1. まず大原則から!「事業場」単位で考えよう

労働基準法第89条
「常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成し、労働基準監督署に届け出なければならない」

一番勘違いしやすいポイントが、この「10人以上」というのは、会社全体の人数ではなく、「事業場(店舗や営業所)ごと」の人数であるということです。具体的なケースを見てみましょう。

ケース 各事業場の人数 提出義務(労基署への届出)
ケースA 東京本社: 30名
北海道支店: 15名
福岡支店: 20名
全事業場で提出が必要
(すべて10名を超えているため)
ケースB 東京本社: 30名
北海道支店: 3名
福岡支店: 5名
東京本社のみ提出が必要
(10名を超えているのは本社のみ)
ケースC 東京本社: 7名
北海道支店: 3名
福岡支店: 5名
提出義務なし
(どの事業場も10名未満のため)

なお、提出義務を逃れるために意図的に事業場を細かく分けることは、適切な労務管理の観点から推奨されません。ルールが不明確になることは、働く従業員にとっても大きな不安材料となります。

2. 対象となる「10人」の正しい数え方と注意点

次に、「誰を10人にカウントするのか」についてです。経営者や役員は使用者側なので含めず、「労働者」をカウントします。

パート・アルバイト
契約社員
【カウントする】
継続的に雇用している場合、雇用形態に関わらず対象になります。「正社員の店長1名、アルバイト9名」でも合計10名となり提出義務が発生します。※休職中や育休中の人も含まれます。
派遣社員 【カウントしない】
雇用契約を結んでいる派遣元の会社でカウントされるため、派遣先である皆様の会社の人数には含めません。
短期アルバイト 【カウントしない】
繁忙期など一時的に雇用され、期間終了後に確実に辞めるような方は、継続的な雇用に該当しないため含めません。

つまり、「継続的に雇う見込みの労働者が10人いるか」が重要な判断基準となります。

3. 提出すべき規程はどれ?(別冊の規程について)

就業規則の本則とは別に、「給与規程」や「育児・介護休業規程」「テレワーク規程」などを別冊で作成しているケースも多いでしょう。

結論として、以下のルールが含まれる規程は、すべて提出対象となります。

  • 絶対的必要記載事項:労働時間、賃金、退職に関することなど(必ず記載しなければならないルール)
  • 相対的必要記載事項:退職手当、安全衛生、表彰・制裁など(事業場内でルールを定める場合に記載しなければならないルール)

これらはお金や働き方に関わる重要なルールですので、本則とセットで確実に提出しましょう。迷った場合は、所轄の労働基準監督署に確認するか、まとめて提出してしまうことをお勧めします。

4. 提出方法と便利な「本社一括届出」の留意点

就業規則の提出方法は、大きく分けて「窓口への持ち込み」「郵送」「e-Gov(イーガブ)による電子申請」の3つです。

近年は、24時間いつでも提出可能な「e-Govによる電子申請」が主流となっています。2021年(令和3年)4月以降、社会保険労務士が提出代行を行う場合も含め、電子申請時の電子署名や電子証明書の添付が不要となり、より簡便に手続きできるようになっています。

⚠️ 必ず必要な「意見書」

提出の際に絶対に忘れてはいけないのが「意見書」です。会社が独断でルールを決めるのではなく、従業員の過半数で組織する労働組合、または過半数を代表する者に「このルールで出しますがどうですか」と意見を聴き、その結果を記した書面を必ず添付しなければなりません。

💡 本社一括届出の留意点

支店や店舗がたくさんある会社には、すべての事業場で「就業規則の内容が同一」であれば、本社の管轄署へまとめて提出できる「本社一括届出」という便利な制度があります。

ここで間違いやすいのが「意見書」の扱いです。就業規則の提出自体は一括で行えますが、意見書は「各事業場(店舗や支店ごと)」に用意しなければなりません。本社の代表者1名の意見書で全国分をカバーすることはできませんのでご注意ください。
(※なお、意見書への労働者代表の押印や署名は不要となっており、記名で可のため、各店舗からの回収負担は軽減されています。)

5. よくある質問とまとめ

Q. 就業規則を変更するたびに届出が必要ですか?
A. はい、必要です。数年分をまとめて後から、ということは認められません。変更の都度、従業員の意見を聴取して提出してください。
Q. 退職者が出て9名以下になったらどうなりますか?
A. その時点以降の法的な届出義務はなくなります。一度出した規則を取り下げる必要はありません。ただし、労使間のルールを明確にしておくためにも、そのまま適正に運用を続けることが、労使双方の安心につながります。
Q. 10名未満の会社ですが、助成金の申請などで提出が必要と言われました。
A. 法令上の義務はなくても、各種助成金の要件として「届出済みの就業規則」が求められるケースがあります。その場合は人数に関わらず提出が必要です。提出の際は、実際の労働時間や給与などの実態と、書類上の記載内容にズレがないか、しっかりと確認することが大切です。

まとめ

就業規則は、会社の都合だけで作るものではありません。働く人と会社との間で労働条件や職場のルールを共有し、無用なトラブルを防いで双方が安心して働くための「重要な土台」となるものです。

作成や変更を行った際は、必ず労働者がいつでも確認できるように掲示やデータ共有などで「周知」することも忘れないでください。

労務管理についてご不明な点がありましたら、社会保険労務士にご相談ください。
本日は以上となります。また次回の記事でお会いしましょう!