社長さん。労務トラブルは、準備不足の会社ほど突然やってきます。
「うちは人数も少ないし、家族みたいなものだから、就業規則なんてまだ早いよ」
そんな風に考えている社長様も多いのではないでしょうか。
確かに、顔が見える距離で仕事ができるのは小さな会社の素晴らしい強みです。しかし、実はその「信頼関係」をより確かなものにするためにこそ、就業規則は大きな力を発揮します。
良いチームだからこそ、あらかじめ「ルール」を共有しておく
経営をしていると、どうしても避けて通れないのが労務に関する細かな決まりごとです。
特に最近は、働き方の多様化も進み、残業や休日についての考え方も人それぞれになってきました。
「こんなはずじゃなかった」
というちょっとしたボタンの掛け違いは、お互いに一生懸命仕事をしているからこそ起こってしまうものです。
特に退職などの環境の変化があったとき、それまで良好だった関係が、ルールの不明確さゆえにぎこちなくなってしまうのは、社長にとっても社員にとっても非常に悲しいことです。
そうした「もしも」の時のためだけでなく、日頃から「うちはこういうルールで頑張っていこう」という共通認識を持つことが、結果として社長の安心感に繋がります。
今、社長が一番恐れるべきは「未払い残業」
「労基署の調査」と聞くと、身構えてしまう社長様もいらっしゃるかもしれません。
税務調査よりも、実は経営者にとってダメージが大きいのが労務トラブルです。
特に近年急増しているのが、退職後の未払い残業代請求。
怖いのは、
在職中は何も言わなかった
円満退職だった
小さな会社で家族的経営だった
こうした会社ほど、準備不足で労務トラブルが突然やってくるということがあります。
実際には、
退職後にネットや第三者(ユニオン・弁護士)から
「残業代、請求できますよ」と言われ、
半年〜1年後に突然弁護士名義の請求書が届くケースがあります。
労基署の調査は「敵」ではない。でも油断は禁物
労働基準監督署の調査には、大きく2種類あります。
1つ目は定期監督
これはランダムに行われるもので、会社規模は関係ありません。
2つ目が申告監
こちらは、元従業員などからの内部告発がきっかけです。
誤解されがちですが、
労基署の調査自体は、怒られたり罰金を即取られるものではありません。
是正内容を指摘される
期限までに改善
報告書を提出
これで終わるケースがほとんどです。
しかし、問題はその前段階。
就業規則がある会社と、ない会社の決定的な差
ここで、就業規則の有無が決定的な差を生みます。
特に重要なのが、残業の事前申請制度。

残業は必ず事前申請
上司の承認がない残業は認めない
承認された時間のみ残業として扱う
このルールが就業規則に明記されているかいないかです。
根拠があることで、社長の心に余裕が生まれる
もし調査が入った際、あるいは社員から質問を受けた際に、明確なルール(就業規則)があることは大きな支えになります。

例えば、残業ひとつをとっても「勝手に残るのではなく、事前にお互い確認してからにしようね」という仕組みが書面になっていれば、現場での迷いがなくなります。
口頭だけではどうしても曖昧になりがちな部分を、就業規則という「会社のルール」が裏支えしてくれるのです。
働きやすさを整える
労基署がチェックするポイントは、何も厳しいことばかりではありません。
労基署が見るポイントは、残業だけではありません。
休憩時間が自由に取れているか
年5日の有給取得義務を守っているか
有給の計画的付与制度を導入しているか
定期健康診断を実施しているか
要再検査者への医師面談を行っているか
これらはすべて、
就業規則と運用がセットで求められる項目です。
これらを「義務だからやらなきゃ」と捉えるのではなく、就業規則を通じて「働きやすさを整えていく」ということ。そうすることで、社員の方々もより安心して仕事に打ち込めるようになります。
社長が大切にしている「会社の文化」を就業規則で形にする
就業規則を作ることは、決して難しいことや、誰かを縛るためのものではありません。
それは、社長が大切にしている「会社の文化」を形にし、社員とそれを共有していくもの。
トラブルを防ぐという「守り」の側面はもちろんですが、それ以上に「この会社でずっと働きたい」と思ってもらえる環境作りの第一歩となります。



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