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小さな会社の社長が最初にやるべき労務3つ

労働時間・休日・休息

会社を立ち上げ、目標に向かって走り出したばかりの社長にとって、毎日は怒涛のような忙しさの連続ではないでしょうか。資金繰りや営業、そして何より素晴らしい人材の確保に奔走する中で、どうしても後回しになりがちなのが「労務管理」という分野です。

しかし、まだ社員が少ないから大丈夫だろうと油断していると、ある日突然、未払い残業代の請求や労働基準監督署の調査といった、経営を揺るがす大きなダメージとして跳ね返ってくることがあります。

大切に育ててきた会社を守り、社員が安心して長く働ける環境を作るために、小さな会社の社長がまず真っ先に押さえておくべき労務の柱は3つあります。

  • 雇用契約と条件の明示
  • 就業規則という社内ルールの確立
  • 社会保険・労働保険への確実な加入

これらは単なる事務手続きではなく、会社を健全に成長させるための戦略的な準備であると捉えることが大切です。

1. 雇用契約の締結と労働条件の明示

まず一つ目の柱として取り組むべきは、雇用契約の締結と労働条件の確実な明示です。

採用が決まった際、つい「これから一緒に頑張ろう」という熱い想いだけで、口約束で条件を済ませてしまっていませんか。しかし、勤務時間や給与、休日、そして具体的な業務内容などは、必ず「雇用契約書」や「労働条件通知書」として書面で交わすことが法律で義務付けられています。

口頭での説明だけでは、後になって「そんな話は聞いていない」「思っていた条件と違う」といった誤解や、取り返しのつかないトラブルを招く原因になりかねません。双方の認識のズレを防ぐことが、信頼関係の第一歩となります。

「法定三帳簿」の整備と労働時間の見える化

さらに、雇用を開始したら速やかに整えておきたいのが、以下の3つからなる、いわゆる「法定三帳簿」の作成です。

  • 労働者名簿
  • 賃金台帳
  • 出勤簿

誰がいつ、どのくらいの時間働き、いくら支払ったのかを正確に記録できる体制を作っておくことは、労務管理の基本中の基本と言えます。タイムカードや勤怠管理システムを導入し、労働時間の「見える化」を徹底することで、サービス残業や長時間労働といったリスクを未然に防ぎ、客観的な証拠を残すことができます。

2. 就業規則と社内ルールの明文化

二つ目の大きな柱は、就業規則をはじめとする社内ルールの明文化です。

法律上、就業規則の作成と届け出が義務付けられているのは常時10人以上の従業員がいる場合ですが、たとえ10人未満の小さな会社であっても、早期に作成しておくメリットは計り知れません。

就業規則は、いわば会社の「ルール」であり、労働時間や休暇、遅刻・欠勤の取り扱い、さらには懲戒処分に至るまで、明確なルールを定めておくことで、社員同士や会社との間の不必要な揉め事を防ぐことができます。不明確なルールは、かえって職場に不安を生む原因となります。

残業代リスクと36協定

特に現代の経営において大きなリスクとなるのが残業代の問題です。これを防ぐためには、「残業は事前申請・承認制とする」「無断での残業は認めない」といったルールを明確に条文に盛り込み、全員に周知徹底しておくことが極めて重要です。

このように運用を厳格化しておくことで、後からの不当な残業代請求といったトラブルを回避し、経営の透明性を高めることができます。あわせて、法定労働時間を超えて働いてもらう必要がある場合には、労使間で36協定を締結し、労働基準監督署へ届け出ることも、法的リスクを避けるために忘れてはならない手続きの一つです。

3. 社会保険と労働保険への適切な加入

そして三つ目の柱となるのが、社会保険と労働保険への適切な加入です。これらは従業員を一人でも雇った場合に課せられる事業主の法的義務であり、避けて通ることはできません。

労働保険(労災保険・雇用保険)

まず労働保険についてですが、労災保険は事業開始日から10日以内に、管轄の労働基準監督署へ「保険関係成立届」と概算保険料申告書を提出する必要があります。これにより、万が一の業務中や通勤中の事故に対して、従業員への補償が約束されます。未加入のまま事故が起きると、多額の追徴金などのリスクを背負うことになります。

社会保険(健康保険・厚生年金保険)

さらに、雇用保険についてはハローワークで手続きを行い、年金事務所では健康保険や厚生年金保険の新規適用手続きを進めることになります。社会保険の新規適用は、設立日や基準を満たした日から5日以内という、労働保険よりもさらにタイトな期限が定められているため、注意が必要です。

これらの保険手続きを適正に行うことは、行政からの指導を防ぐだけでなく、福利厚生を充実させることで「この会社で安心して働ける」という信頼の土台を築くことに直結します。

専門家への外注という賢い選択

これまでお話ししてきた通り、創業初期の労務業務は多岐にわたり、非常に煩雑です。社長が自らこれらすべてをこなそうとすると、本来最も注力すべき本業の時間が奪われてしまうという本末転倒な事態になりかねません。

そこで、成長を加速させたいスタートアップや小規模企業の賢い選択肢として考えたいのが、社会保険労務士などの専門家への外注化です。

社労士には書類作成や手続き代行といった「独占業務」があり、プロに委託することで法改正への迅速な対応が可能になり、書類の不備や申告ミスによるリスクを最小限に抑えることができます。

「限りある時間は、企業価値を向上させるコア業務へ集中させる」という経営判断こそが、創業期の不安定な時期を乗り越え、会社を大きく飛躍させる鍵となります。

まとめ:労務管理は建物の「基礎工事」

労務管理を整えることは、単なる守りの作業ではありません。それは、社長が安心して大きな決断を下し、新しい挑戦に挑むために不可欠です。会社の成長は、整った土台の上にこそ、より確実に加速していくのです。

労務管理は、例えるなら建物の「基礎工事」のようなものです。目に見える派手な外装(売上や営業)にばかり目が行きがちですが、基礎がしっかりしていない建物は、高く積み上げようとした瞬間に崩れてしまいます。地面の下にある強固な基礎が、どんな嵐が来ても揺るがない安心な職場を支えてくれるのです。

今日から一つずつ、信頼される会社への第一歩を踏み出してみませんか。お気軽にご相談くだしさい。

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