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就業規則は「作っただけ」では意味がありません

就業規則・書類の保存

「就業規則はちゃんと作っていますよ」。
社長さんからよく聞く言葉です。しかし、その次に「従業員は自由に見られますか?」と聞くと、少し空気が変わることがあります。

「いや、特に見せてはいないですね」「社長室の引き出しに入っています」。

実はこの状態、就業規則が“存在していない”のとほぼ同じなのです。
就業規則は、作成すること自体がゴールではありません。
法律上、就業規則は周知されて初めて効力を持つものだからです。

どれだけ立派な内容でも、従業員が内容を知ることができない就業規則は、会社にとって意味がありません。

なぜ就業規則を「見せない」会社があるのか

就業規則を閲覧させない会社には、いくつか共通する背景があります。
多くの場合、悪意というより「不安」が原因です。

たとえば、退職を考えている従業員が就業規則を見て、未払い残業代や手当の請求に使われるのではないか、という不安。
あるいは、実際の運用と就業規則の内容がズレていて、「これ、書いてあるのと違いませんか?」と言われるのが怖いケースもあります。

  • 主任手当が就業規則には書いてあるのに、実際には支給していない。
  • 副業禁止と書いてあるけれど、実際は黙認している。

こうした“ズレ”を突かれたくないという心理が、就業規則を隠す行動につながっていることは少なくありません。
また、そもそも内容に自信がなく、「粗探しされたら困る」と感じている場合もあります。

ただし、ここで重要なのは、隠しても問題は消えないということです。
むしろ、隠すことでリスクは何倍にも膨らみます。

周知していない就業規則は「効力がない」

法律では、就業規則は従業員に周知されていなければなりません。
これを怠ると、労働基準法違反となり、30万円以下の罰金が科される可能性があります。

しかし、本当に怖いのは罰金そのものではありません。
就業規則が使えなくなることです。

たとえば、問題社員がいたとします。
会社のお金を横領した、重大なハラスメントを行った。
普通なら懲戒処分を検討する場面ですが、就業規則が周知されていなければ、懲戒処分は原則としてできません。

裁判例では、懲戒処分を行うためには、以下の点を就業規則で定め、事前に周知しておくことが必要だとされています。

  • 懲戒の種類
  • 懲戒の対象となる行為

つまり、どれほど悪質な行為があっても、「就業規則を見せていなかった」という一点で、会社は手足を縛られてしまうのです。

ルールが共有されない会社は、従業員も迷います


就業規則は、会社で働く上でのルールブックです。
それが周知されていなければ、従業員は何を基準に行動すればいいのかわかりません。

  • ハラスメントはどこからがアウトなのか。
  • 服装や身だしなみの基準はあるのか。
  • タイムカードの打刻ルール、有給休暇の申請方法。

これらが曖昧なままでは、「聞いていない」「知らなかった」という言葉が横行し、会社の統制は取れなくなります。
さらに、副業についても大きな問題が生じます。

就業規則で副業を許可制にしていたとしても、周知されていなければ効力は認められません。
結果として、競合他社での副業や、過重な副業によって本業に支障が出ても、会社は強く言えなくなります。

定年も、休職ルールも「ない会社」になるリスク

就業規則が周知されていない場合、定年規定も無効になります。
つまり、「定年のない雇用契約」になってしまう可能性があるのです。
本人が辞めない限り、何歳になっても雇い続けなければならない――そんなリスクを抱えることになります。

病気やケガで長期休職する従業員への対応も同様です。
多くの会社では、一定期間の休職後、復職できなければ退職となるルールを設けています。
これは冷たい制度ではなく、トラブルを防ぐための重要な仕組みです。
しかし、就業規則が周知されていなければ、そのルールも使えません。
結果として、会社も従業員も出口が見えず、深刻な紛争に発展するケースがあります。

「見せなければ大丈夫」は通用しない

就業規則を会社が見せなくても、従業員は労働基準監督署で閲覧できる場合があります。
在職中で、会社が周知義務を果たしていないことが確認されれば、監督署に提出された就業規則を見せてもらえることがあります。
退職後であっても、一定の紛争があり、在職中に周知されていなかった事実が確認できれば、退職者に関係する部分だけ閲覧できるケースもあります。

つまり、「隠せば済む」という発想自体が、すでに通用しない時代なのです。

就業規則は「整えて、堂々と見せる」もの


就業規則を周知できない理由の多くは、「自信がない」ことに尽きます。
だからこそ、やるべきことは一つです。

実態に合った、正しい就業規則を整えること。
そして、従業員にきちんと周知すること。

就業規則は、従業員を縛るためのものではありません。
会社と従業員、双方を守るための共通ルールです。

作っただけで満足してしまっていないか。
引き出しにしまったままになっていないか。
もし少しでも不安があるなら、今が見直しのタイミングです。

就業規則は、「周知してこそ」意味を持つ。
これは、すべての会社に共通する、動かせない原則です。

「社長も社員も安心する」就業規則の見直しならぜひご相談ください。

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