社長さん、今日は、多くの経営者の方がふと疑問に思うけれど、意外と誰もわかりやすく教えてくれない「就業規則と社内規定の違い」についてお話しします。
「そんなの専門家じゃないからわからないよ」と思いましたか?
大丈夫です。これを読めば、明日から社員や取引先に自信を持って説明できるようになりますよ。
それでは、会社のルールの世界へ、少しだけ足を踏み入れてみましょう。
1. 実は「社内規定」という法律用語はない?
まず、一番最初に衝撃的な事実をお伝えします。
社長、実は「社内規定」という言葉は、法律用語ではないんです。
多くの社長さんが「就業規則と社内規定はどう違うの?」と質問されますが、そもそも土俵が少し違うのです。
では、「社内規定」とは一体なんなのか?
これは、シンプルに「会社の中にあるルールの総称(まとめ)」というイメージを持ってください。
会社の中にはいろんな決まりごとがありますよね。
「経費精算のルール」「出張のルール」「服装のルール」「情報セキュリティのルール」など、これらを全部ひっくるめて、一般的に「社内規定」と呼んでいるだけなのです。
広い意味で言えば、これから説明する「就業規則」も、この大きな「社内規定」というグループの一つに含まれると言えます。
2. では、「就業規則」とは何か?
『社内規定』は、『すべてのルールを入れる大きな箱(フォルダ)』の名前で、『就業規則』はその箱の中に必ず入れておかなければならない『最重要書類』のことです。

就業規則が他の社内ルールと決定的に違う点、それは「書くべき内容が法律で決まっている」ということです。
ここからは少しだけ専門用語が出てきますが、ついてきてくださいね。
就業規則には、大きく分けて2つの「絶対に書かなければならないこと」があります。

① 絶対的必要記載事項
漢字が多くて難しそうですが、要するに「就業規則を作るなら、何がなんでも絶対に書かないとダメなこと」です。
具体的には以下のようなものです。
- 仕事の始まりと終わりの時間(始業・終業時刻)
- 休憩時間
- 休日・休暇
- 定年などの退職に関すること
これらは、「うちは書きたくないから書かない」ということが許されません。法律で「記載しなければならない」と定められているからです。
② 相対的必要記載事項
もう一つがこちらです。これは「もし会社にその制度があるなら、絶対に書かないとダメなこと」です。
一番わかりやすい例が「ボーナス(賞与)」や「退職金」です。
実は、法律上、会社にはボーナスや退職金を出す義務はありません。出すか出さないかは、社長であるあなたの自由です。
しかし、「うちはボーナスを出しますよ」「退職金制度を作りますよ」と決めたのであれば、そのルールは必ず就業規則に書かなければなりません。
つまり、就業規則というのは、この「絶対に書くこと(①)」と「制度があるなら書くこと(②)」の2つが揃って構成されているのです。
3. 結局、違いはどこにあるの?
ここまでくれば、もう答えは出たも同然です。
「就業規則」と、それ以外の「社内規定」の境界線。
それは、法律の制限を受けるか、受けないかです。
- 就業規則:
法律(労働基準法など)によって、「これを書きなさい」「あれを載せなさい」と制限を受けます。国が決めたルールブックの書き方に従う必要があります。 - (狭い意味での)社内規定:
法律が関与しない部分です。「これは法律で決まっていないから、会社で自由に決めていいよ」という部分について定めたルールです。
例えば、社内の「SNSの利用ガイドライン」や「身だしなみ(服装)のルール」などは、法律で「こうしなさい」とは決まっていませんよね。 法律は「ツイッターで会社の○○を公開してはいけない」とか「○○で出社してはいけない」とまでは書いてくれません。これらは、就業規則に書く義務はなく、会社が独自に作れる「社内規定」として存在すればいいわけです。
もっとざっくり言ってしまうと、こうなります。
- 法律の制限を受ける大事なルール = 就業規則
- 法律が関与しない、会社が自由に決めるルール = 社内規定
あえて分けるなら、このように理解しておけば間違いありません。
4. 社長が一番大切にすべきこと
さて、違いがわかったところで、最後に社会保険労務士の視点から、社長にどうしてもお伝えしたいことがあります。
多くの経営者の方は、就業規則や社内規定を「作ること」をゴールにしてしまいがちです。
「法律で決まってるからとりあえず作った」「ネットの雛形をコピーして作った」これで安心していませんか?
実は、一番大切なのは「作ること」ではなく、「どう運用するか(どう使うか)」なのです。
就業規則は、会社の憲法のようなものです。
そこに書かれている法律の意味や、運用の仕方を正しく理解していなければ、いざトラブルが起きた時に会社を守ることができません。
「就業規則」には法律の制限があるとお伝えしましたね。ということは、裏を返せば、法律や運用の仕方を正しく理解していないと、知らず知らずのうちに法律違反をしてしまうリスクがあるということです。
社長さん、貴社の就業規則は、金庫の奥で眠っていませんか?
この機会に、「法律の制限を受けているルール(就業規則)」と「自由に決めているルール(その他の社内規定)」がどうなっているか、一度見直してみるのも良いかもしれません。
もし、「もっと詳しく運用の仕方を知りたい」「自分の会社のルールが心配だ」と思われたら、無料相談をぜひご活用ください。


